「アクセサリー」と「ジュエリー」の違いについて
今回は「アクセサリー」と「ジュエリー」の違いをご紹介します。今までは意味を混同していた方も、この記事を読めば2つの言葉をしっかり使い分けられるようになりますよ。
「アクセサリー」と「ジュエリー」の違いは意外と知られていない
「アクセサリー」と「ジュエリー」の違いを知らなかった方も、意識して使い分けていなかった方も安心してください。2つの意味の違いは意外と知られていません。使い分けているつもりでも、定義が曖昧なままになっている場合もあります。
例えば、「宝石が付いていればジュエリー」という分け方もありますが、結婚指輪は宝石が付いていなくても「ジュエリー」です。宝石の有無だけではアクセサリーとジュエリーを分けることはできません。
「アクセサリー」と「ジュエリー」の違いとは?辞書で調べてみた
アクセサリーとジュエリーの意味は辞書ではどのように書き分けられているのでしょうか。
アクセサリーの意味
まずアクセサリーの意味は
・「身につける装飾品。ブローチ・ネックレス・イヤリングなど。装身具。」(大辞林第三版)
・「見た目をよくするために、からだや衣服に身につける物。ブローチ・イヤリング・ネックレスなど。」
引用:新明解国語辞典第七版
と書かれています。
「装飾」や「見た目をよくする」などの言葉から、おしゃれのために身につけるもの全般を指していることがわかります。ブローチやネックレス、イヤリングは代表例であり、実際はもっと幅広い種類のアイテムが「アクセサリー」に含まれているようです。
確かに、髪をまとめるシュシュやバレッタなどは「ヘアアクセサリー」、シンプルな靴を華やかにするクリップやバンドなども「シューズアクセサリー」と呼ばれています。頭部に着けるものから足元を彩るものまで、おしゃれアイテムはすべて「アクセサリー」なのですね。
素材も金属だけでなく、布や木、ガラス、樹脂などさまざまで、特に制限がないようです。
ジュエリーの意味
一方、ジュエリーの意味は
・「宝石・貴金属類」引用:大辞林第三版
・「宝石入りの装身具」引用:新明解国語辞典第七版
などと簡潔に書かれていました。アクセサリーよりも意味の狭い言葉であることがわかります。
「宝石が付いていればジュエリー」という分け方は間違ってはいませんが、宝石だけでなく「貴金属類」も含まれています。
結婚指輪の素材はプラチナやゴールドなどの貴金属が主流です。宝石付きではない指輪も「ジュエリー」と呼ばれる理由がわかりましたね。
アクセサリーを素材で分類した中にジュエリーがある
アクセサリーとジュエリーの意味を見比べると、どちらも「装身具」という言葉が使われていました。
アクセサリーの定義に素材の制限はなく、ゴージャスな宝石をあしらった貴金属製の指輪も、ハンドメイドの素朴な木の指輪も含まれます。
アクセサリーの中でも、宝石や貴金属類が使われているものだけがジュエリーと呼ばれているのです。アクセサリーを素材別に分類した中のひとつにジュエリーが含まれている、と言えます。
ジュエリーに使われるのはどんな素材?宝石と貴金属の定義とは
ジュエリーは宝石や貴金属を使ったアクセサリーであることがわかりましたが、そもそも宝石や貴金属の意味をご存じですか?
どんな石を「宝石」と呼び、どんな金属を「貴金属」と呼ぶのかを知らなければ、実際にアクセサリーとジュエリーを区別することはできません。宝石と貴金属の定義をご紹介します。
宝石に必要な3つの条件
宝石はアクセサリーに使われるさまざまな石の中でも、天然石のみを指す言葉です。人の手によって生成されたり合成されたりした場合は天然石に含まれません。
さらに天然石の中で宝石に分類されるのは、「美しさ」「希少性」「耐久性」の3つを満たしているものだけです。
美しさが宝石に不可欠であることは言うまでもありませんが、美しくても簡単にたくさん手に入るようでは「宝の石」とは言えません。希少性が高いほど価値も上がります。
美しく希少性の高い石でも、傷がつきやすいものや割れやすいものは宝石ではありません。ジュエリーは長く身に着けるものですから、経年劣化に強くなければ輝きを失ってしまいます。
3つの条件を満たしている石としてはダイヤモンド・エメラルド・ルビー・サファイヤが有名です。この4つは「四大宝石」「貴石」と呼ばれています。
貴金属は8種類
日本ジュエリー協会によると、貴金属はゴールド・シルバー・プラチナのほか、パラジウム・ロジウム・ルテニウム・オスミウム・イリジウムの8種類を指す言葉です。
8種類のうち、ゴールド・シルバー・プラチナはジュエリーの主材料として使われています。残りは強度を高めるための合金として使われることがほとんどです。
パラジウムはプラチナに似た銀白色で、最近では結婚指輪の主材料に使われることもあります。
貴金属の条件は「希少性が高い」「加工がしやすい」「化学的に安定していること」です。
このうち、「化学的に安定していること」はわかりにくい表現ですが、腐食や酸化が起きにくいことを表しています。宝石で言うところの耐久性にあたる要素で、長く使い続けても劣化しにくいということです。
これってジュエリー?アクセサリー?
アクセサリーにはさまざまな素材を組み合わせて作ったものもあり、「これはジュエリーと呼べるの?」と迷ってしまうこともあります。
次のようなアクセサリーはジュエリーと呼んでいいのでしょうか。
チタン製のダイヤモンドリング
チタンは変形や変色が起こりにくく、金属アレルギーの方にも優しい金属です。重さはプラチナの約4分の1で長く着用してもストレスが少ないため、結婚指輪の素材として人気が出てきています。
プラチナに近い銀白色のチタンはダイヤモンドとの相性もばっちりですが、貴金属ではありません。
しかし、ダイヤモンドが埋め込まれたリングはジュエリーと呼ぶことができます。
キュービックジルコニアがあしらわれたゴールドのネックレス
キュービックジルコニアはダイヤモンドによく似た人工石です。光の屈折率がダイヤモンドと非常に近く、素人目にはダイヤモンドと見分けがつかないほど美しく見えます。ダイヤモンドより安価で気軽に身に着けられるため、ネックレスやピアスによく使われている石です。
キュービックジルコニアは宝石ではありませんが、ネックレスの素材がゴールドであればジュエリーと呼ぶことができます。
純度の低い貴金属を使っている場合
プラチナやゴールドなどのアクセサリーは、強度を高めるために他の金属を混ぜ合わせた合金が使われていることがほとんどです。純度が高いほど美しい反面、強度が落ちてしまうからです。
他の金属の割合が高くなると貴金属本来の美しさからは遠くなり、価値も落ちます。
JIS(日本産業規「ジュエリー用貴金属合金の純度(品位)」では純度の最低ラインが示されています。
貴金属と呼べる最低含有率はプラチナが85%、ゴールドが37.5%、シルバーが80%、パラジウムが50%です。この基準よりも純度が低い場合は、貴金属を使っていてもジュエリーとは呼べません。
刻印を見ればジュエリーを見分けられる
貴金属の純度は指輪なら内側の刻印を見れば確認することができます。
例えば、指輪の刻印に「Pt850」とあれば、プラチナの割合が85%、他の金属が15%の合金です。ゴールドの場合は純度75%なら「K18」、41.7%は「K10」と表示されています。
まとめ
ジュエリーはアクセサリーの中でも素材が限定された特別な存在です。
大切な方から「プレゼントにジュエリーが欲しい」と言われた時、意味を混同していると宝石や貴金属の使われていないアクセサリーを買ってしまう可能性があります。
ジュエリーの意味と宝石・貴金属の定義をしっかり押さえて、本物のジュエリーを手に入れてくださいね。